「覚悟の共有が名勝負を生むんです」DDTプロレスリング 竹下幸之介選手インタビュー!
インタビュー前日、後楽園ホールにて「D王 GRAND PRIX 2021 Ⅱ」優勝決定戦、高校の同級生でもある上野勇希との激闘を制し見事優勝!しかも無敗でかつKO-Dチャンピオンとして優勝という初の快挙!年末にも国立代々木競技場 第二体育館でのビッグマッチを控える竹下幸之介選手にお話をお聞きしました!
― 昨日の激闘、素晴らしかったです。よろしくお願い致します。
竹下幸之介(以下竹下):ありがとうございます、こちらこそよろしくお願いします!
― 同級生との優勝決定戦、青春の夢と希望を感じさせるこんなドラマティックなマッチアップがあるのかと。
竹下:僕が高校在学中にデビューして、その僕の試合を応援に来てプロレスを知ってDDT入門を目指した上野。お互いリーグ戦を勝ち上がってきて後楽園ホールで戦えるっていうのはDDT(ドラマティック・ドリーム・チーム)らしい物語ではあります。今まで5回シングルをやって1回も負けてないんですけど、もっと高いところにもっと先に行けると思います。集大成を見せる!と思っていましたが、やってるうちに「もっといける!」と感じました。着実にステップアップしてきてるし、両国国技館とかさいたまスーパーアリーナのメインを張れる日が来るでしょうし。やっぱり大阪でのビッグマッチ、エディオンアリーナでも二人でメインを張って満員にしたいですね。
― 動画配信サービス『WRESTLE UNIVERSE』では、解説の小佐野さんが「上野が何やっても一発で返す竹下の強さ、ジャンボ鶴田さんを思い出しました」とおっしゃっていました。
竹下:特にジャンボ鶴田さんを意識してるわけではないんですけど、DDTという団体の中でいわゆる「強大な壁」になる選手、なろうとする選手がいなかったと思うんですよね。昨今のプロレスではとくに壁を乗り越えたり壊したりする人を見たい・見せたいというのが多くて。煽りVでも言いましたけど僕は身体も大きくなりましたし、特に上野勇希に対しては問答無用で高い壁であり続けないといけないし、それを上野が超えた時こそがひとつのピリオドだと思うんです。ピリオドを打ちたくないという意味でも壁であり続けたいと思っています。
― しかしリーグ戦自体も強烈な試合ばかりでした。チャンピオンのまましかも無敗で優勝、振り返ってみていかがですか。
竹下: 全勝したかったんですけど初戦引き分けだった。そこで「黒星なしで優勝」「チャンピオンで優勝」と気持ちを切り替えました。僕が壁になるなら僕を越えにきてくれる選手を探してたような公式戦でしたね。今、誰が見てもDDTの「壁」として立っていると思います。26歳という年齢で壁になってしまった僕は何を超えていけばいいのか、でもそこに岡林選手が現れてくれた。僕の壁になってくれるような強い選手が。これは非常にモチベーションになっています。
反面、これをも超えたら果たして次は何をモチベーションにしたらいいのか、常に不安を抱えた孤独なレースを走ってるようです。ほんとは30代~40代で出てくることかもしれないんですけど、まだまだ壁にぶち当たりたいしそれを乗り越えたい。もしかしたら他団体に見つかるかもしれないし、むしろそう思いたいぐらいです。
― あんなにハードな優勝決定戦を終えた直後でもタイトルマッチのことを言及されてました。
竹下:僕たちみたいな人間は満足したら終わりですから。例えば、このパワー・スピード、この筋肉・見た目でいいやって思ったら終わっちゃう人種なんです。今回も試合後1時間もすればすぐ課題を探して次なにしようとか、今日も朝からトレーニング行ってましたし、進み続けないと。マグロと一緒です、止まったら死んじゃう(笑)。
プロレスって儚いものなので1日でも長くプロレスしようなんて思ってないんです。いつプロレスができなくなるかもわかりませんし、一試合一試合大切に、全力でと。そういうのを若手のころから上野にも言ってたし彼にも伝わってると思います。
― お互いに通じ合っているから熱を生むんですね。
竹下:試合の中のリズム・技とかある程度は関係するでしょうけど、どれだけ1試合に覚悟を持てるかという「覚悟の共有」ができてるとその試合は絶対に白熱します。今回の上野との試合はまさにそれですね。
9/26後楽園でやったクリス・ブルックスとのタイトルマッチなんかもそうです。彼なんてこういうご時世にイギリスにお母さんを残して日本に住んで、「絶対にプロレスで成功する!DDTで成功する!」という覚悟で戦ってますから。通ずるものがあるから公私ともに仲が良いし、でも仲良しだからできるということではなくてお互いに覚悟が共有できているからああいう試合ができた。激しい・熱いというもの以外に、言葉にはできない特別なものがある試合ができたんです。
― 竹下選手の地力の強さはどこからくるものなのか、幼少期はどんな過ごし方をされましたか
竹下: それはもうシンプルです。物心つく前からプロレスを見てましたから。やられてもやられても立ち上がる姿、受けの美学というかさんざんやられてもそれでも返してやり合うところが好きで。それを見て育ってるから絶対に弱いところを見せない、へこたれないというこんな人間になりました(笑)
― それはもうプロレスで人間形成されたようなものですね。
竹下:陸上競技やボディビル、スポーツもいろいろ経験しましたし、映画も好きで読書も好きでいろんなサブカル、エンタメに触れる中で、プロレスはエンタメも詰まってるしスポーツとしても尋常じゃないフィジカルが詰まってますし、超人的なものとか。大切なもの、特別なものが詰まってますよね。
何度も上野の話をするのもなんですけど(笑)、彼は17歳の時に僕の試合で始めてプロレスを見てプロレス人生がスタートして、僕みたいにプロレスが沁みついてるわけではないところがコンプレックスなんですよ。だからこそ今必死に吸収しようとして彼なりの解釈でああいう新人類の、令和のプロレスラーが生まれたという。
― アニメやゲームもお好きだと。ゲームではファイプロ(ファイヤープロレスリング。プロレスゲームの最高峰)のイベントにても出てらっしゃいました。
竹下: アニメ・ゲーム含めサブカル系については、僕マニアックなんで同世代で話が合うことはなかなか無いんですよ。ゲームとかはプロレスラーもよくやるのでポップな話題として話せます。DDTはみんな何かひとつ好きなものがあるんで深く話せますね。でも世代的に今20代のみんなはファイプロやってませんでしたし、僕はゲームボーイアドバンス版からやってましたけど。40代の方々はスーパーファミコン版とかファイプロGとかめちゃくちゃやってた世代ですよね(ここでうんうん、筆者納得)
そういう意味ではここ最近になって親の教育方針にも感謝してますね。それこそ「ゲームはあかん」「プロレス見たらあかん」「もっと勉強しなさい」とかの家庭だったら僕みたいな人間育ってませんし。「本はたくさん読みなさいよ」ぐらいで。ちゃんと勉強もしてましたし本も好きでたくさん読んでましたし、ご飯もいっぱい食べさせてくれましたし(笑)
― 僕らの世代は高橋名人が「ゲームは1日1時間」とか。
竹下:ボタン連打の時代から今はもうeスポーツなんて競技もできましたね。競技人口も急激に増えてその中でトップを狙うのは並大抵じゃないですよね。僕らのゲームは好きなだけやってやりたくなくなったら止めればいいんですけど、競技となるとやりたくなくてもやらなきゃいけない。好きなことを仕事にすると苦しさが倍増するというか。
― 自分に当てはめると思い当たるふしが(笑)
竹下:僕はやっとプロレスラーになれて大好きなプロレスをやって、でも観てたプロレスとやるプロレスは違うからそのギャップに苦しかった時もあったんです。最初の2,3年ぐらい。10代の時は右も左も分からない小僧ですし、解決方法もわからなかったし。昔の自分の方が頑張ってたかも(笑)。同期もいませんでしたけど、今のサウナのメンバーは同世代ですしお酒も飲むし支えになってますよね。でも当時はDDTの先輩たちがご飯連れて行ってくれてほんとによくしてもらいました。DDTじゃなかったらプロレス辞めてたと思います。ほんとによくしてもらいました。
― 戦うことにおいても幼いころから群を抜いてたと。
竹下: 小学校のころから大阪プロレスのプロレス教室に通ってたんですけど、スパーリング形式の大会があって。中学生から大人の部になってたんですけど、僕は小学校4年だったんで子供の部なんですけど、身体も大きく力も強かったんで大人の部の参加も認められて、アマレスもやってたんで大人をぎったんぎったんにしてました(笑)
もちろん上には上がいまして、入江茂弘さんが高校生ぐらいで一番強かったんですよ。入江さんにはかないませんでしたけど、だいたいの大人には勝てました(笑)。入団した時って周りは年上の先輩たちばっかりでしたけどそこに対してネガティブはイメージは全然なかったんですよ。小学生の時から大人と戦ってたこともあって委縮しなかったというか。小学生の頃から早くプロレスラーになりたくて生き急いでたんで「大人でもなんでも倒したら誰も文句言わんやろ」と思って本能で戦ってましたから。
― 来年27歳、デビュー10周年を迎えることになります。
竹下:10年は節目だと思っていますし、DDTで17歳でデビューして、ひとつこう恩返しのつもりで試合しています。これからももちろんプロレスを頑張っていくんですけど、こうしてメインイベントやらせてもらってて極端な話「この試合でプロレスできなくなってもいい!」っていうつもりでやってます。プロレスラーなので心身を削って恩返しします!(力強く)
― 10周年を迎える直前、12/26(日)代々木競技場 第二体育館「NEVER MIND 2021 in Yoyogi」大会ではKO-D無差別級選手権が控えています。それぞれの対戦カードごとに竹下選手なりの見どころを教えていただけますか(インタビュー時点で既報のカードについてお聞きしました)
■対戦カード
○ヤネカベ presents KO-D無差別級選手権試合
<王者>竹下幸之介 vs 岡林裕二<挑戦者>
※第77代王者2度目の防衛戦
竹下:シンプルなプロレスが見れると思います。シンプルにスゴイ、シンプルに面白い、ストレートに伝わる試合になると思います。DDTはビュッフェ的な面白さがありますけど、僕らの試合は「極上チャーハン」です(笑)。シンプルに火力で勝負するような、そして美味い!という。尋常じゃない火力で作る絶対美味いやろっていうチャーハン、IHでは絶対出来ない逸品をお出しします!
○DDT UNIVERSAL選手権試合
<王者>佐々木大輔 vs 高梨将弘<挑戦者>
※第5代王者3度目の防衛戦
竹下:これは僕らの真逆です。テクニック、心理戦、裏の取り合い。ギャンブル的な面白さ、賭けにどっちが勝つのか。技術はトップクラスです。体格として大柄でもないけど勝ち残ってきた二人ですから。主食でないところ、冷蔵庫の残り物で強烈に上手いものをつくる。匠の技で何品も出してくると思います。
○KO-Dタッグ選手権試合
<王者組>HARASHIMA&吉村直巳 vs 火野裕士&ボディガー<挑戦者組>
※第71代王者組の初防衛戦
竹下:HARASHIMAさんがD王グランプリで一勝もできなかった。DDTを引っ張ってきた自負もあると思いますし、この後がない状態で初防衛戦、かつ火野ボディガーというDDT所属でない選手にベルトを奪われるわけにはいかない。HARASHIMAさんの意地がみどころですよね。コクのある戦いになると思います。
○スペシャル6人タッグマッチ~坂口征夫復帰戦
坂口征夫&樋口和貞&赤井沙希 vs 鈴木みのる&クリス・ブルックス&伊藤麻希
○BURNINGvsThe37KAMIINA!
遠藤哲哉&秋山準&岡田佑介&高鹿佑也 vs 勝俣瞬馬&上野勇希&MAO&小嶋斗偉
○スペシャルシングルマッチ
近藤修司 vs 平田一喜
○男色“ダンディ”ディーノ&飯野“セクシー”雄貴&今成"ファンタスティック"夢人 vs 青木真也&堀田祐美子&スーパー・ササダンゴ・マシン
○高尾蒼馬&翔太 vs 彰人&石田有輝
○ダークマッチ~DDTeeeen!!スペシャルシングルマッチ
イルシオン vs ヴァンヴェール・ジャック
竹下:DDTeeeen!!のメンバーには非常に期待してるし、エル・ユニコーンの派手さが目立ちますけど、イルシオンの独特のうまさ・センス、ジャック選手は若いんですど実はキャリアは僕と同じくらいで。イルシオンが優れているのはこのDDTeeeen!!を背負ってるという自覚がある。そのキャプテン気質に期待しています。公式Twitterの絵日記や練習風景もぜひチェックしていただきたいです。
<DDTeeeen!!公式アカウント>
○ダークマッチ
高木三四郎 vs 魔苦・怒鳴門
○ダークマッチ
大鷲透&納谷幸男 vs アントーニオ本多&岡谷英樹
― 最後にファンの皆様にメッセ―ジをお願い致します。
竹下:2021年のDDTはいろんなことがあって、「KING OF DDT」「D王」「KO-D無差別王者」、下半期は僕が先頭でひっぱってきましたし最後まで引っ張り切りたいですね。岡林選手には僕が思うDDTのプロレスをぶつけた上で、堂々と勝ちたいと思います!
■代々木競技場 第二体育館「NEVER MIND 2021 in Yoyogi」
チケット購入はこちらから!
https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=35776
こちらから当日10時まで前売り料金で購入できます!ぜひご利用ください。
◆『NEVER MIND 2021 in Yoyogi』特設サイト
https://series.cyber-fight.co.jp/nevermind2021
◆動画配信サービス『WRESTLE UNIVERSE』
https://www.wrestle-universe.com/
年内は月額無料!会場に行けない方はこちらでご観戦を!
■竹下幸之介
現役高校生レスラーとして2012年8月の日本武道館大会でデビュー。高校卒業後、日本体育大学へと進学し、学業とプロレスの両立に励み、2018年3月に無事卒業した。卒論のテーマは『ジャーマン・スープレックス』。2018年4月に入江茂弘に敗れるまで、KO-D無差別級王座11回防衛の最多記録を樹立した。週刊プロレス誌の表紙を飾るなど、新時代の旗手としての期待が高い。
Twitter) @Takesoup
■取材を終えて
竹下選手から「まだまだ上に行ける、行くんだ」という確固たるプロレス感・強い意志を感じました。
“スーパーササダンゴマシンのロンTが似合いし者”竹下選手、これからも期待して止みません!
今日もプロレス最高っ!
(聞き手:スレンダー川口 https://twitter.com/slender_kg)
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